子どものいびきは要注意?見逃したくないサイン、家庭での対策など、耳鼻咽喉科専門医が解説!

いびき、睡眠時無呼吸症候群

1. はじめに

「うちの子、寝ているといびきをかくけど、大丈夫?」そんな疑問をお持ちの保護者も多いかと思います。
子どものいびきは大人よりも見過ごされがちですが、扁桃肥大やアデノイド肥大、アレルギー、鼻づまりなどが背景にあることが多く、学習・行動・成長に影響を及ぼす場合もあります。
本記事では、原因・家庭での対応・医療機関での診断・治療まで、耳鼻咽喉科専門医として解説します。

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2. 子どものいびきが要注意な理由

2.1 成長や発達への影響

  • 繰り返す無呼吸やいびきによる睡眠障害は、集中力低下、学習障害、多動などにつながる恐れあり。
  • 成長ホルモン分泌の低下で、成長遅延や肥満リスクも増加。

2.2 行動面への影響

  • 日中の眠気・倦怠感が表出しにくく、「落ち着きがない」「忘れっぽい」などの行動で現れることも。

3. 小児いびきの主な原因

3-1 扁桃腺・アデノイド肥大

  • 扁桃やアデノイドが大きくなると気道が狭くなり、いびきや口呼吸を引き起こす最も多い原因。
  • 特に年中泣いたり熱を繰り返す子、いびきが大きい子は要注意。

3-2 アレルギー性鼻炎・鼻づまり

  • 花粉やハウスダストにより鼻粘膜が腫れて、鼻呼吸が困難に。
  • 鼻が詰まり口呼吸が増えることで、いびきが悪化する。

3-3 アデノイドの影響と中耳炎

  • アデノイド肥大は中耳の空気循環を阻害し、滲出性中耳炎による難聴や言語発達遅延の原因にもなります。

4. 自宅でできる簡易チェックリスト

以下の項目に 2つ以上該当する場合は、受診を検討しましょう

チェック項目
夜中に呼吸が止まっていると言われた
いびきが大きい
朝すっきり起きられない
集中力が続かない/学校で眠そう
口を開けたまま寝ている
頻繁に風邪をひく、鼻づまりを起こす

5. 家庭でできる対策

5-1 湿度と空気環境の整備

  • 寝室は加湿器で50〜60%に保ち、アレルゲン対策として掃除機や空気清浄機を活用。

5-2 鼻のケア

  • 就寝前の鼻うがいや生理食塩水スプレーで鼻腔を潤す。

5-3 生活習慣の見直し

  • アレルギーのある時期は外遊び後すぐシャワー+衣類交換
  • 睡眠リズムを整える
  • 食事内容に乳製品・揚げ物を控えるなども調整

6. 医療機関での検査・診断

6-1 問診と身体所見

  • 耳鼻科医による問診・視診・触診で扁桃の大きさや鼻腔構造、アデノイド状態を評価。

6-2 簡易睡眠検査( パルスオキシメーター)

  • 自宅で一晩、酸素飽和度や心拍数を測定。睡眠時無呼吸症候群のスクリーニングに有効。

6-3 精密睡眠検査(PSG)

  • 入院して行う睡眠時無呼吸の精密検査。脳波・呼吸・酸素飽和度など複数項目を同時記録。

7. 治療選択肢と手術内容

7-1 扁桃摘出術(Tonsillectomy)・アデノイド切除

  • 手術適応:明らかな扁桃肥大・アデノイド肥大でいびきやいびきによる低酸素が続く場合。
  • 入院の目安:小児の場合1週間以内が多い。
  • 術後経過:数日ほど痛み、発熱あり。軟食と安静が必要。

7-2 内視鏡下アデノイド切除術

  • 鼻の奥に特殊な内視鏡を挿入し、アデノイドを切除。出血が少なく回復が早い。

7-3 アレルギー性鼻炎の治療

  • 抗アレルギー薬(経口/点鼻)・ステロイド点鼻薬の使用で症状をコントロール。

8. 術後の経過・フォローアップ

  • 術後は1〜2週間でいびきや口呼吸が改善する例が多い。
  • 初回診察:手術後1週間〜10日目に痛みや出血の有無確認。
  • 最終評価:術後1〜3ヶ月で呼吸状態やいびきの再評価を行います。

9. 合併症とリスク

  • 出血・感染のリスク:特に扁桃摘出術後は注意が必要。
  • 麻酔関連リスク:小児の麻酔は慎重に行います。
  • アレルギー治療には長期管理が必要。

10. 内部リンクと外部リンク


11. まとめ

子どものいびきは、成長や行動に関わる重要なサインです。扁桃肥大やアデノイド肥大、鼻づまり、アレルギーなどが原因の場合、自宅でできるケアと専門医による診断・治療の両輪が鍵となります。早めの対応で、子どもの健康と明るい毎日を支えてあげましょう。

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